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グリーンビルディング一問一答(第11回)  2010年5月10日掲載

不動産協会は4月、「環境」を不動産業における新たな価値創造のテーマと位置付けるアクションプランを発表した。 「環境配慮型建物=グリーンビルディング」の動向を伝える連載の第11回は「グリーンビルディングの不動産価値」。 短期的に見れば、グリーンビルディングは一般の建物よりも高価格になると考えられる。(ケンプラッツ編集部)

Q11グリーンビルディングは、一般的な建物に比べて不動産としての価値が高いのですか。

オーストリアの経済学者、カール・メンガー(1840-1921)によると、 モノの価値とはモノ自体に本来備わっているのではないそうです。 モノが備え持つ、生命や快適な暮らしを保つための機能に対して、 人間の認識や要求が合致することよって初めてモノに価値が生じるのです。 従って、これらの関係の変化によって、同じモノでも価値が増えたり減ったりします。

例えば石油は古代文明の栄える以前から地球に存在していますが、19世紀までは特に注目されることはありませんでした。 19世紀後半に石油を使う内燃機関(ガソリンエンジン)が発明され、広く利用されるようになって石油の価値は上がりました。 石油そのものに変わりはないのに、石油に対する人間の知識や要求が変化したのです。

このように、建物の価値も社会情勢や人間の要求によって時代とともに変化します。 安全や衛生に関する欲求を十分に満たした建物が普及した成熟社会においては、 生活をより豊かにする高次の欲求を満たす役割が、建物に求められるようになります。

現在は、石油や水をはじめとする様々な資源の枯渇問題や、二酸化炭素が引き起こす自然環境問題などへの関心が高まっています。 その結果、これらの問題を解決する機能を提供する建物への要求が増しつつあり、 グリーンビルディングの価値が上昇している時期だといえます(図のAの段階)。

さて、モノの価値は貨幣価値、すなわち価格の高低によって測られます。 テレビでも高性能で省エネ対応のものほど高い価格になるように、 グリーンビルディングも一般的な建物に比べて高価格になるはずです。

ただし建物の価格形成メカニズムは、鉛筆や消しゴム、テレビや自動車などの一般消費財と異なることに注意が必要です。 例えば、同規格で建てられた住宅でも立地条件は同一ではありえず、建物は二つとして同じものがありません。 このように個別性の強い建物の価格は、不動産鑑定評価によって物件ごとに判定されているのです。

ところが、環境に配慮した建物の機能の多くは、定量化・金銭化が難しいことや、 従来の建物の価格形成要因と関連付けが難しいことなど、不動産鑑定評価における課題が山積しています。 現状では、グリーンビルディングであるが故に高価格と判定されているとは言い切れず、 “環境”の価値をいかに価格に反映させるかを、世界各国で模索しています。

結果的に市場は、人々が求めるものを供給します。今は数が少ないグリーンビルディングですが、 人々の要求が増すほど普及してゆき、いずれグリーンビルディングが“普通”になる日が来ます。 地震やアスベストの対策を行うことが当たり前になったように、環境に配慮することが特別ではなくなるのです。 石油と違ってグリーンビルディングは無数に供給可能です。 長い年月を経て、「特別な価値」は普通の価値になっていくことでしょう(図のBの段階)。

グリーンビルディングに関する価値と時間の概念図
図 グリーンビルディングに関する価値と時間の概念



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