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グリーンビルディング一問一答(第7回)  2010年3月8日掲載

「環境配慮型建物=グリーンビルディング」の動向を伝える連載の第7回は 「グリーンビルディングであることのメリット」について解説する。 欧米豪での研究から、経済的なメリットなど、大きく5つのメリットがあることが認められている。(ケンプラッツ編集部)

Q7建物をグリーンビルディング化すると、どのようなメリットがありますか。

欧米濠には、グリーンビルディングの認証を取得することによって得られるメリットを、定量的に分析した研究が豊富にあります。
この研究成果に述べられている様々なメリットは、次の5つに大別できます。

(1)経済的メリット、(2)リスクマネジメントに関するメリット、(3)健康に関するメリット、
(4)従業員や社会との関係に関するメリット、(5)投資に関するメリット。

以下は、これらの詳細です。現在の日本では顕在化してなくても、将来、認識されそうな項目もあります。
なお、実際にはこれらの項目は直接・間接的に密接に関連していて、単純に分けて考えることはできません。

(1)経済的メリット
一般に、建物の環境性能を高めるに当たり多くの人が最初に思い浮かべるのは、経済的メリットです。 優れた外皮性能や高効率エネルギー機器の利用による光熱費の削減、節水機器や水再利用システムの導入による水道費削減は、 最も分かりやすいメリットでしょう。 グリーンビルディング化のために投じた初期費用が、適切な建物運用によって数年で回収できたケースも報告されています。

グリーンビルディングは、そもそも将来の用途変更可能性などを考慮しており、階高や空間の形状にゆとりがあります。 従って陳腐化しにくく、メンテナンスにかかる費用が削減できるともいわれます。 さらに、グリーンビルディングへの入居を希望するテナントが増えていることから、高い賃料を設定できて稼働率も向上し、 建物の市場価値が上がります。オーナーやデベロッパー、そして投資家が最も注目すべきメリットです。

(2)リスクマネジメントに関するメリット
米国の建築・不動産関係者が、経済性の次に期待するのがリスクマネジメントに関するメリットです。 米国では、室内空気環境に起因する様々な訴訟が起きています。 建築基準法が求める以上の質の高い室内空気環境を保つグリーンビルディングは、リスクに強いビルだといえます。 認証を取得することで、第三者が検証した建物であると評価されることも強みです。

建築確認や開発許可などに時間がかかり、計画が遅れることも不動産にまつわるリスクの一つです。 米国のいくつかの自治体では専用窓口を設置し、グリーンビルディングであれば許認可にかかる時間を短縮できるようにしています。

(3)健康に関するメリット
適切な換気や昼光利用、眺望の良さ、有害物質の少ない建材・家具の使用――。 こうしたグリーンビルディングで働く人は、一般的な建物で働く人と比較して健康であるというデータもあります。 さらに、快適な空間で働くことによる仕事の効率向上も評価されています。 日本では、教育施設の湿度と気温を最適にすることによって、学習効果が上がったという調査結果があります。

快適な職場環境を提供することで、優秀な人材を確保できることも注目されています。 特に、他に先んじて高齢化社会を迎えるヨーロッパ諸国や日本においては、 優秀な人材に長く働いてもらうための方策の一つとして、グリーンビルディングが期待されています。

(4)従業員や社会との関係に関するメリット
建物をグリーン化することは、従業員、株主、その他のステークホルダーに対して、 環境問題にポリシーを持って取り組んでいることを示す機会の一つととらえられています。 これに加え、環境や健康への配慮を行動で示すことで従業員やテナントと良好な関係を保つことにも役立ちます。 社会に対しては、環境への取り組みを行動で示すことによってブランドイメージを高めることが期待できます。

(5)投資に関するメリット
2006年、国連の環境計画・金融イニシアティブは“責任投資原則”を提唱しました。 この原則に基づき、投融資を行うか否かを判断する際に、企業の環境・社会・企業ガバナンスの問題に配慮している 機関投資家は増えてきています。 一般投資家にとっても、企業の社会的責任は重要な投資判断項目です。

このような背景においては、全温室効果ガスの約40%を排出しているといわれる建物に対する環境対策は、 無視できない要素です。
特に、金融機関や投資家から資金を調達するデベロッパーは、 グリーンビルディングの認証を取得できる建物を建てざるをえない状況となっています。


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